CD Both Sides Now Project


高田英子です。
「Both Sides Now」
ジョニー・ミッチェルの名曲をタイトルとしたこの2枚目の作品は、目まぐるしく過ぎ去ってきた時代の中で、私の中から消えることのない、いや、消えるどころかますます鮮明に滲み出てくる、愛おしい映像から生まれてきたアルバムです。まるでそれが今の私を存在させている理由のように。


数年ぶりにデュオライブでご一緒したピアニスト石川武司さんとのふとした会話の中で、新しくなっている私に気付かせていただき、そして新しい作品を作る、というインスピレーションをいただきました。そこからは随分時間がたちましたが、私がこれまで生きてきた中で自分だけがもっているのがもったいないような「ステキ」フィールが70年代後半〜80年代前半のSoft and Mellowなクロスオーバーサウンドとマッチングした時から、この自分プロジェクトはスタートしました。


サンディエゴのジャズハウスで出会った、後にDavid BowieのバンドドラマーとなるDennis Davisたちと、そのままHollywoodに向かってGeorge BensonのTV収録に紛れ込んだことだとか。
大森一樹監督、村上春樹の映画作品「風の歌を聴け」。
神戸北野町に今もある伊藤マンション。窓からは緑の縁のシュエケ邸・・・そう、2階には映画でつかわれた彼女の部屋があって。ドレッサージっていうとびきりオシャレな雑誌の編集室に入り浸る理由で、私はそこでやっていた彫金教室に好きでもないのに通ったものです。その流れで、ファッション雑誌のライターになれたんだけどね。
映画のジェイズ・バーは、行きつけの店だったし。そうatticとここはピーナッツの皮を床に落とすんだよね。マスターのヨットにも乗ったなあ。西宮ハーバーが今でもやけに眩しいのはそのせい。
ジェイズ・バーはHalf Timeっていう店。今もあるんだよ。




タヒチとニューカレドニアでの暮らしはもうどうしようもなく現実離れしていたし。山々の緑と帯状に色が移り変わる海の青と藍とブルーハワイのカクテルの水色、パレオの原色。毎朝、ティアレの白い花や赤いハイビスカスを耳にさしていた。


そして、突然始めたマラソン!2万人や3万人がスタートする時のカラフルな興奮。走るジャズシンガーだなんてタイトルつけられたら、諦めることが難しくなる。


石川さんが紹介してくれたスタジオ「studioBOSCO」。ヨーロッパの田舎にある農家のようなおうちスタジオです。歌を始めた時からずっとサポートしてくれた、心から感謝したい今回のアルバムのミュージシャンと、studioBOSCOのハウスエンジニアの森崇さんとの心地よい対話の中でこのアルバムはできあがりました。


湖西に広がる比良山と琵琶湖の美しい風景と季節の移り変わりを感じながらゆっくり、ゆっくり創ったネイチャーなアルバムです。
少しずつ録っている間に、自分が変わり、回りが変わり、歌が変わり、曲の解釈も変わっていきました。
Both SIdes Now。確かな答えはひとつではないし、自分の中でも色んな見方をしていると感じます。
このアルバムは、私のライブの世界観、そしていつもお届けしているライブにほどよく近いものになったのではと思っています。
では、ここからは、私のアルバムで。物語の続きが始まります。


高田英子 (たかだひでこ)





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